重症心身障害児施策の現状

 どんなに重い障害の人でも、ライフステージに応じて、相談支援、保健医療、生活福祉、教育などの支援を適切に受けることによって、豊かに生きる喜びを持ちつづけることが保障される必要があります。
 在宅にあっても、また施設入所にあっても、施設の存在は生活を支える根幹をなすものであり、個々の状況に応じて施設利用と在宅支援がたがいに連携し、組み合わさってはじめて重度の障害者の生活が成り立っております。

(1)施設施策の状況

入所施設では:医療・福祉(生活)・教育を一体とした療育が行われる

重症心身障害児施設の状況(平成29年4月現在)

区 分箇所数病床数
公立・民間法人施設132ヶ所13,579床
国立施設1ヶ所60床
独立行政法人国立病院機構73ヶ所7,983床

 重症心身障害児(者)は、医療的対応を必要とすることから、専門性を備えた施設といつも関わりをもたなければ生活ができない状態にあります。

(2)在宅施策の状況

① 重症心身障害児(者)の居宅生活支援事業
 〇 在宅重症心身障害児(者)(推計)   29,000人

 支援費制度 ・・・  地域にて:医療(通院、訪問健診、訪問看護)
 福祉(ホームヘルプ、児童発達支援、生活介護、放課後等デイサービス)
 短期入所

② 重症心身障害児(者)通園事業
特別支援学校卒業後の生活支援の場として:
 通園事業が行われ、学校で獲得した社会性を持続しています。

全国重症心身障害児(者)を守る会

(3)特別支援教育について

 平成15年3月に出された文部科学省の「今後の特別支援教育の在り方について」最終報告では、「障害のある児童一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う」という考え方に基づき、①「個別の教育支援計画」②特別支援教育コーディネーター③広域特別支援連携協議会等についての提言がなされておりますが、特に一人ひとりのニーズに合わせてそれぞれのもつ可能性を最大限に引き出す教育が求められております。

① 可能性を引き出す教育・・・(北浦尚の世界から)

 このようにどんなに障害の重い子どもであっても、必ず内に秘めた能力を持っています。その力が周囲の人々に大きな勇気や希望を与えることもあります。たとえ瞬き一つ、指一本であっても、発信しているサインを読み取ることによって、その潜在能力を引き出し、可能性を最大限に引き伸ばすことが真の教育ではないかと考えます。

② 関係機関・関係者間の連携

 重症児にとって 医療的ケアの必要な子どもの場合は特に、医師・看護師・保健師・ケースワーカー・ホームヘルパー等医療・福祉関係者とのネットワークは欠かすことができません。文部科学省と厚生労働省が連携を密にし、その体制づくりに取り組んでいただいております。

③ 特別支援学校における医療的ケア

 超重症児にとって、養護学校における医療的ケアの実施体制の整備を図ることは重要です。看護師を配置していただくとともに、教育活動の充実の観点から担当する教員においても、次の特定行為を行うことができるよう運動してきました。

~特定行為~
  ・口腔内の喀痰吸引         ・鼻腔内の喀痰吸引
  ・気管カニューレ内部の喀痰吸引 
  ・胃ろう又は腸ろうによる経管栄養  ・経鼻経管栄養

全国重症心身障害児(者)を守る会